Cover Story : net-flyer.com観てスッキリして帰ってもらったら幸せです」−− 松山ケンイチ
原作の同名コミックが累計300万部を突破、サブカルチャー界を騒然とさせている『デトロイト・メタル・シティ』。オシャレでポップな音楽が大好きなのに、なぜか悪魔系デスメタルバンドのカリスマギターボーカルとなってしまった青年の姿を描いたこのコミックが、よもや実写化されるとは! 主人公“ヨハネ・クラウザーII世”こと根岸崇一に見事になりきった松山ケンイチがいなければ、本当に成り立たなかった映画といえるだろう。
自分のやりたいことと才能への ギャップは誰にだってあること
誰もが様々な夢を抱く。でもその夢は必ずしも叶うものではない。時には自分が望んでいないような部分にとんでもない才能を持って生まれてきてしまう人もいる。『デトロイト・メタル・シティ』の主人公・根岸崇一もまさしくそんな葛藤を抱えたキャラクターだ。本当はオシャレでポップな渋谷系ミュージシャンを目指して大分県から上京してきたのに、彼が今やっているのは悪魔系デスメタルバンド“デトロイト・メタル・シティ”(=DMC)。カリスマギターボーカル、ヨハネ・クラウザーII世として、望んでもいない音楽を続けている。しかもなぜか彼はその望まない音楽のほうが明らかに才能があるのだ。
「自分のやりたい事と才能とのギャップって誰でもあると思うし、そこでどうギャップと向きあっていくかは誰しもが持つ問題じゃないかと思うんです。自分がどんなにバカにされようが自分のやりたい事を貫くのか、皆に受け入れられるならこっちの方向が楽だからいってみようとか、本当にいろんな選択肢が人生の中ではあると思うんですよ。そこで起きる葛藤や諦めをどう処理していくかが大事なんですよね。そういうところが実は今回、すごく大切にした部分なんです」
実際、映画を観ていると基本的にはおバカギャグ映画なのだが、そういうちゃんとしたテーマがキチンと見えてくるのが心憎い。でもそういったテーマが胸に響いてくるのも、松山ケンイチがこの悲喜劇な根岸というキャラクターを的確に演じているからだ。
「入る前はちゃんと演じきれるかどうかという不安は正直ありました。でもクラウザーのメイクを初めてされたとき、自分でも鏡を見て原作にそっくりだと思ったし、僕だけじゃなくスタッフ全員が安心して自信を持てた感じもあって。だからクランクインの頃には変なプレッシャーとかは感じていなかったんです。でも本当にメイクの力は大きかった。あのメイクがなかったら、例えばここでいきなりクラウザーを演じてくれと言われても恥ずかしくてできないですよ」
僕じゃなく役がやることですから。 だから躊躇なくなんでもできる
実際、彼のなりきりぶりはハンパではなかった。クラウザーのメイクをすると自然とデス声という低いガラガラ声になり、根岸になると表情が明るくなり動きなどが妙にクネクネとし、たたずんでいるだけで気色悪さがにじみ出てくる。その変幻自在ぶりには本当に舌を巻いた。原作者の若杉公徳も現場でその様子を見て「原作から抜け出てきたみたい」と本気で感嘆していたほど。巨大牛にクラウザーの格好で触れと言われれば平気で触るし、エキストラへの挨拶の時、クラウザー風に過激なアドリブで叫んだりもした。
「あくまでも僕じゃないですから。役がやっていることだからできるだけですよ」と彼は説明するが、それができる役者は実はそうそういない。実際もしクラウザーとしてスカイダイビングをするシーンがあったら翔ぶかと聞いたら、彼は躊躇なく「はい」と答えた。
「自分でもよくわかんないんです。どこからが自分でどこからが役なのかとか考えたこともないし。ただすぐに役に入れるのではなく、やっぱり3〜4日はかかりますよ。ただ役に入るのにも時間がかかるけど、役を抜くのも僕はかかっているんだと思います。実際この映画の撮影の後、CM撮影で思いっきり感情を出してと言われたらクラウザーみたいな動きになってしまっていたし(笑)」
時には役に入り込みすぎて撮影の合間にイラっとしてクラウザーのようについ振る舞ってしまった……なんてエピソードも。
「原作のイメージの世界観を作るのは李闘士男監督やスタッフの皆さんがやっていたので、自分はただ演技に集中しようとしていただけなんです。もう本当にメイクさんや衣装さん、照明さん、録音さんなどスタッフの皆さんの力があってこそ演じられたんだと思います。でもライヴシーンがあれだけできたのは本当にエキストラの皆さんの力ですよ。あれだけ盛り上げてくれたから素直にそれに乗れたんです。本当にエキストラとして参加して下さった皆さんには感謝してます」
筆者もライブシーンの撮影現場には行ったが、確かに本当にDMCのライヴに来たような盛り上がり方で驚かされた。
「実は撮影現場でモニターを見ていたスタッフの方からクライマックスのライヴシーンで鳥肌が立ったと言われたんです。そういうものがお客さんに伝わってお客さんが鳥肌を立ててくれたら、本当にいいライヴシーンになったんだと思うし、やった意味があったなと。でもこの映画はあくまでもデスメタルコメディ映画。観てスッキリして帰ってもらえたら、それだけで幸せですよ」
とにかく観てつい吹き出してしまうようなシーンはてんこ盛り。松山ケンイチの怪演も手伝って、かなり楽しいユニークなエンタメ映画に仕上がった。それは保証する。
自分のやりたいことと才能への ギャップは誰にだってあること
誰もが様々な夢を抱く。でもその夢は必ずしも叶うものではない。時には自分が望んでいないような部分にとんでもない才能を持って生まれてきてしまう人もいる。『デトロイト・メタル・シティ』の主人公・根岸崇一もまさしくそんな葛藤を抱えたキャラクターだ。本当はオシャレでポップな渋谷系ミュージシャンを目指して大分県から上京してきたのに、彼が今やっているのは悪魔系デスメタルバンド“デトロイト・メタル・シティ”(=DMC)。カリスマギターボーカル、ヨハネ・クラウザーII世として、望んでもいない音楽を続けている。しかもなぜか彼はその望まない音楽のほうが明らかに才能があるのだ。
「自分のやりたい事と才能とのギャップって誰でもあると思うし、そこでどうギャップと向きあっていくかは誰しもが持つ問題じゃないかと思うんです。自分がどんなにバカにされようが自分のやりたい事を貫くのか、皆に受け入れられるならこっちの方向が楽だからいってみようとか、本当にいろんな選択肢が人生の中ではあると思うんですよ。そこで起きる葛藤や諦めをどう処理していくかが大事なんですよね。そういうところが実は今回、すごく大切にした部分なんです」
実際、映画を観ていると基本的にはおバカギャグ映画なのだが、そういうちゃんとしたテーマがキチンと見えてくるのが心憎い。でもそういったテーマが胸に響いてくるのも、松山ケンイチがこの悲喜劇な根岸というキャラクターを的確に演じているからだ。
「入る前はちゃんと演じきれるかどうかという不安は正直ありました。でもクラウザーのメイクを初めてされたとき、自分でも鏡を見て原作にそっくりだと思ったし、僕だけじゃなくスタッフ全員が安心して自信を持てた感じもあって。だからクランクインの頃には変なプレッシャーとかは感じていなかったんです。でも本当にメイクの力は大きかった。あのメイクがなかったら、例えばここでいきなりクラウザーを演じてくれと言われても恥ずかしくてできないですよ」
僕じゃなく役がやることですから。 だから躊躇なくなんでもできる
実際、彼のなりきりぶりはハンパではなかった。クラウザーのメイクをすると自然とデス声という低いガラガラ声になり、根岸になると表情が明るくなり動きなどが妙にクネクネとし、たたずんでいるだけで気色悪さがにじみ出てくる。その変幻自在ぶりには本当に舌を巻いた。原作者の若杉公徳も現場でその様子を見て「原作から抜け出てきたみたい」と本気で感嘆していたほど。巨大牛にクラウザーの格好で触れと言われれば平気で触るし、エキストラへの挨拶の時、クラウザー風に過激なアドリブで叫んだりもした。
「あくまでも僕じゃないですから。役がやっていることだからできるだけですよ」と彼は説明するが、それができる役者は実はそうそういない。実際もしクラウザーとしてスカイダイビングをするシーンがあったら翔ぶかと聞いたら、彼は躊躇なく「はい」と答えた。
「自分でもよくわかんないんです。どこからが自分でどこからが役なのかとか考えたこともないし。ただすぐに役に入れるのではなく、やっぱり3〜4日はかかりますよ。ただ役に入るのにも時間がかかるけど、役を抜くのも僕はかかっているんだと思います。実際この映画の撮影の後、CM撮影で思いっきり感情を出してと言われたらクラウザーみたいな動きになってしまっていたし(笑)」
時には役に入り込みすぎて撮影の合間にイラっとしてクラウザーのようについ振る舞ってしまった……なんてエピソードも。
「原作のイメージの世界観を作るのは李闘士男監督やスタッフの皆さんがやっていたので、自分はただ演技に集中しようとしていただけなんです。もう本当にメイクさんや衣装さん、照明さん、録音さんなどスタッフの皆さんの力があってこそ演じられたんだと思います。でもライヴシーンがあれだけできたのは本当にエキストラの皆さんの力ですよ。あれだけ盛り上げてくれたから素直にそれに乗れたんです。本当にエキストラとして参加して下さった皆さんには感謝してます」
筆者もライブシーンの撮影現場には行ったが、確かに本当にDMCのライヴに来たような盛り上がり方で驚かされた。
「実は撮影現場でモニターを見ていたスタッフの方からクライマックスのライヴシーンで鳥肌が立ったと言われたんです。そういうものがお客さんに伝わってお客さんが鳥肌を立ててくれたら、本当にいいライヴシーンになったんだと思うし、やった意味があったなと。でもこの映画はあくまでもデスメタルコメディ映画。観てスッキリして帰ってもらえたら、それだけで幸せですよ」
とにかく観てつい吹き出してしまうようなシーンはてんこ盛り。松山ケンイチの怪演も手伝って、かなり楽しいユニークなエンタメ映画に仕上がった。それは保証する。
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