あなたも私も松ケンも“人類はみなワタナベ”――松山ケンイチ『ノルウェイの森』を語る 
2011/06/16 Thu. 20:17 [edit]
あなたも私も松ケンも“人類はみなワタナベ”――松山ケンイチ『ノルウェイの森』を語る | ニコニコニュース
6月22日にブルーレイ/DVDが発売される映画『ノルウェイの森』。主人公ワタナベを演じた松山ケンイチさんに映画を振り返ってもらった。ワタナベを演じることを経て「自分も大人になっていった」という。
【松山ケンイチ『ノルウェイの森』を語る】
今なお読まれ続けている村上春樹の大ベストセラー『ノルウェイの森』の映画化は、監督にとっても、役者にとってもリスキーな仕事であったに違いない。初版出版時に学生だった世代はもちろん、誠読者の世代にも、ハルキストで自分の中に“ワタナベ像”を持っている人は多いだろうから。
6月22日にブルーレイ/DVDが発売される映画『ノルウェイの森』。主人公ワタナベを演じた松山ケンイチさんに映画を振り返ってもらった。ワタナベを演じることを経て「自分も大人になっていった」という。
【松山ケンイチ『ノルウェイの森』を語る】
今なお読まれ続けている村上春樹の大ベストセラー『ノルウェイの森』の映画化は、監督にとっても、役者にとってもリスキーな仕事であったに違いない。初版出版時に学生だった世代はもちろん、誠読者の世代にも、ハルキストで自分の中に“ワタナベ像”を持っている人は多いだろうから。
「僕の演じたワタナベは、26歳という年齢で感じとったものでしかないので……もっと深いと思うんですよね、原作の中にある愛についての考え方だったり価値観といったりするものは。だから村上春樹さんには、『ノルウェイの森』としてどうか? ではなくて、単に映画としてどうだったか感想を聞きたい」――ワタナベを演じた松山ケンイチさんはインタビューの冒頭にそう語った。
「今なら自分ははっきりと大人だと言えるんですけど、撮影時はそうかと言われたらそういうわけでもなくて、流されてしまう自分という部分もあって。それがワタナベと近いなと感じていました。ワタナベが大人になっていくように、撮影を通して自分も大人になっていったような感じはしています」
自分に似ているところもあるけれど難しいワタナベをどう演じ、自分のものにしていったのか。松山さんはトラン・アン・ユン監督と、よく分からないことがあったらとにかくやってみる、やってみて一緒に正解を見つけていくということを繰り返した。
ときに監督は、ワタナベの心情を風景や音楽にも語らせた。その監督の手法は「ワタナベは顔に出していないのに音楽や風景が痛々しくて、それが逆にワタナベを描いている。そういう描写がすごい。風景も色も人間以上に感情を表現してる。今までに見たことない撮影方法だな」と、松山さんを感嘆させた。
高校時代の親友を自殺で亡くしたワタナベは、自分から積極的にコミュニケーションするタイプではない。彼のたたずまいはいつも、どこか途方にくれていて、ナオコやミドリとの関係の中で常に正解を探している。特に、目の表情が印象的だ。
「目の動き、しぐさ、細かいところまで監督は演出していました。やってみて、すぐ皆でモニターで見て、この目の動きがワタナベじゃないとか、この目の動きは邪魔だとか、でもその後の表情は良かったとか。細かいところからも、人の品性のようなものは感じられるだろうし、繊細さとか危うさとかふわふわした感じとかも。そういうところまで監督の演出が入ってます」
●30歳になっても40歳になっても新しい“気付き”がある作品に
松山さんを通して自らの考えるワタナベ像を追求するトラン監督は、この映画を普通の喋り口調で撮りたいと考えていた。松山さんはそれに対し「原作の口調でやりたい」と主張したという。これは原作に思い入れがある人にとっては重要なポイントだろう。
「原作でも“ワタナベの喋り方には特徴がある”ってミドリが言ってるし、その文章の、言葉の選び方自体がワタナベの特徴でもあるという気がしていたのであまり変えたくなかったんです。そのままの口調で一度やらせてもらいたいと言いました」
あの村上作品独特の口調を自分のものにするのに苦労はなかったのだろうか。
「それはなかったです。ある意味時代劇だし、口調で時代感というものも表現できる。そういうつもりでやってたんで自分の中では違和感なかった。言葉からでも彼の繊細さが分かります。でも、感情をそのまま言葉にのせてないところがあって。一歩引いてるんです、ワタナベは。冷静とは違うんですけど、醒めてるというか、あんまり距離が近くなりたくない、そういうことも口調から表現できたと思います」
映画のワタナベを創り上げていく過程で、松山さんは愛について熟考することとなり、その結果、大人になったという。
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